sp. ≠ spp. ≠ ssp.。「1個体・複数個体・小さい個体」を表す記号ではありません。
3つの略語を比較する
| 表記 | 意味 | 読み方の例 |
|---|---|---|
| sp. | speciesの単数形の略記 | Papilio sp.:Papilio属の、種名を特定・明示していない1種 |
| spp. | speciesの複数形の略記 | Papilio spp.:Papilio属の複数の種 |
| ssp. / subsp. | subspecies、亜種 | 種の下位の階級。spp.とは別の意味 |
sp.とspp.の単数・複数の区別はIPPCの表記ガイドでも示されています。subsp.をssp.より優先する編集方針もありますが、分野ごとの書式を確認しましょう。出典:IPPC Style Guide:学名と略語の表記 ↗出典:CDC EID:略語とsubsp.の表記方針 ↗
sp.は「新種を発見した」という意味ではない
Papilio sp.と書かれていても、新種と判断したとは限りません。まだ種まで調べていない、特徴を確認できない、文脈上種名を明示しない、といった場合があります。
同じ属の標本2個体を持っているだけでは、spp.にする理由にはなりません。spp.は個体数ではなく複数の種を指します。また、2枚のラベルがどちらもPapilio sp.でも、その2個体が同種だとは保証できません。
昆虫の亜種名は、基本的に3語で書く
動物の種名は「属名+種小名」、亜種名はさらに亜種小名を加えた3語(三名法)で表します。動物の学名では、通常この3語の間にssp.やsubsp.を挟む必要はありません。植物等の表記をそのまま当てはめないようにしましょう。出典:ICZN:動物の学名・亜種名に関するFAQ ↗
亜種は「小さな種」「幼虫」「色違い」そのものを意味しません。どの亜種として扱うかは、対象群の分類文献で確認する必要があります。
斜体にする部分・しない部分
Papilio sp.では属名を斜体、sp.は立体(通常の文字)にします。属名の頭は大文字、種小名・亜種小名は小文字が基本です。略語までまとめて斜体にしないようにします。出典:IPPC Style Guide:学名と略語の表記 ↗
独立したラベルでは、属名を頭文字だけにすると読み違えやすくなります。ここでは省略せずに書くことをおすすめします。用紙の都合で書式が限られても、まず綴りと意味を正確に残してください。
sp. nov.は別の表現
sp. nov.は新種を示す表現で、単なる未同定ラベルの代用品ではありません。ラベルに書くだけで新しい学名が命名規約上成立するわけでもありません。新種の記載には所定の公表等の要件があります。出典:ICZN:動物の学名・亜種名に関するFAQ ↗
分からないときは、分かる階級までを正直に記録する。その方が、後から専門家が調べる際にも役立ちます。
一般的な入門解説です。分類群や収蔵機関によって表記・運用は異なります。掲載例は説明用で、実際の標本情報ではありません。
読んだら、ラベルを試してみる
採集情報と同定情報を入力し、サイズを変えながら確認できます。ブラウザーデモは一部の項目を使った簡易版です。
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